第2話 「聴く力 ―営業の基本「アクティブリスニング」―」
素晴らしい業績を上げる営業マンに共通する要素にはどんなものがあるでしょうか?
こう問われたら私は、迷わず「聴く力」だと答えます。
一般的なイメージとして、優秀な営業マンは話し上手であるという印象があるようですが、果たしてそうでしょうか? 皆さんが物やサービスを購入するお客様
の立場だとすると、立て板に水で自社の商品の自慢や自分の考えを語るだけの営業マンから「買いたい」とは考えにくいのではないかと思われます。好感を持つ
というより誘導されないようにという防御本能が働いたり、その状況が長引くと漠然とした不信感すら抱いてしまうかもしれません。
勿論、
コミュニケーション能力にたけ、人を惹きつける話が出来る素晴らしい営業マンの方がビジネスシーンで活躍していることは、大変多いと言えます。しかし、注
意深く観察すると彼らは、自分が話すこと以上に相手の話を聴くことに力を注いでいることが分かるはずです。彼らは単に受身的に「聞いている」のではなく、
お客様のことを知ろうと心から積極的に耳を傾けています。この積極的傾聴(アクティブリスニング)が営業の大きな力となると言えます。
では、積極的傾聴を行うとどのような効果があるのでしょうか。
まず第一に、「お客様のニーズがわかる」ということが挙げられます。お客様が求めているものは何か?(ゴールの明確化)、現状はどうか?(現状の把握)、
求めているものと現状のギャップは?(解決すべき課題の明確化)ということを明らかにし、お客様のニーズを理解することで最終的にお客様が求めているもの
を明確化できるといえます。
さらに、なによりも「お客様との信頼関係が築ける」ということも大きなポイントです。お客様が真に求めてい
るものがわかったら、ポイントを絞って解決提案が出来ます。そのことで、お客様は、課題解決をしてくれた営業マンに高い信頼を寄せてくださいます。する
と、お客様自身がリピーターになるだけではなくご紹介もいただけるようになります。つまり、お客様があなた自身の営業マンになっていただけるのです。
このように積極的に耳を傾けていくと好循環が生まれてきます。
研修を行って気づくのですが、多くの営業マンが、営業に必要不可欠な要素はコミュニケーション能力であるということを理解しています。しかし、「聴く能力
を伸ばすこと」に心を砕いている人は案外少ないようです。つまり、本当の意味で聴く事が出来るようになれば、同業他社の営業マンよりも遥かに多くの信頼を
お客様から頂くこと出来るということです。
それでは、どうやって聴く力を伸ばしていけばいいのかを整理してみます。
1.お客様が話し易い空気感をつくる。
―笑顔(心からの笑顔は人の心を開きます)
―体全体で聴く(頷いたり、あいづちをうったり、
耳だけではなく体全体でしっかり相手の話を受け止めます)
―お客様の話を掘り下げたり、広げたり、視点を変えたりする質問をする。
(「もう少し聴かせていただいていいですか?」、
「なるほど、それでどうなさったんですか?」などの質問でお客様のお話を
促していく)
2.聴くことに専念する
―先入観を持たずに聴く。
(思い込みや先入観は、事実を把握するために大きな障害となります)
―結論を急いで出さない。
(結論を出したり判断を下したりすることは、お客様が全てお話になってから
行えます。早とちりの結論に飛びつかないように注意が必要です)
―相手の話を遮らない。
(話を遮ることは、相手の存在を無視した礼を欠く態度と言えます。
最後まで、話を聴きましょう)
―相手に思いやりをもって、辛抱強く
(話を聞くことは、話すことよりもエネルギーがいる行為です。
相手に思いやりを持って聴くことに、はじめは辛抱強さがいりますが
意識して行っていくと、身につき誰からも奪うことができない強力な力と
なります)
お客様から「○○さんは、本当に良く話を聞いてくれるね」、「○○さんになら、本音で話せる」と言われるようになったら営業マン冥利につきますよね。積極
的傾聴のスキルを身につけるためには、日々の継続的な実践が必要になりますが、意識して続けていくと営業力を高めるだけでなく貴方の人生をも豊かにしてく
れる素晴らしい力となるのではないでしょうか。
積極的な姿勢で聴いていくことを今から始めてみましょう。「聴く」ことは「思いやり」。聴く力を磨くことは、ご自身の心を磨くこととも言えるかもしれませんね。
只松 崇 プロフィール
只松 崇 (ただまつ たかし)
ビッグ・フィールド・マネージメント株式会社 取締役プロデューサー
財団法人 生涯学習開発財団 認定プロフェッショナルコーチ


