大野尚の沸騰コラム

「キャッチボール」  

「キャッチボール」   2018年11月号

 

父との思い出は、社宅団地の車路でのキャッチボール

最初は近い距離から始めて徐々に離れて8mから10m位で

相手の胸元に投げ込む。

 

父の「よし、行くぞ!」と言う掛け声共に、

腕が振り落とされると優しいボールが僕の構える

胸元のグローブにすっぽり入ってくる。

 

そのボールを掴んで、僕も優しく父の胸元のグローブめがけて投げ返す。

 

その繰り返しが何度か行われていくうちに、徐々に父の腕が

高く上がり勢いつけて振り落とすボールは重みをもち激しく

僕のグローブに、「ガシッ!」とぶち当たる。

 

やっとの思いでキャッチはするものの、

その勢いに思わず後ずさりしてしまう・・・

 

負けじと僕も全身の力を込めて投げ込む。

 

放たれたボールはコントロールを失い、父の胸元から

大きく外れて二人が離れた距離の倍は転がっていった。

 

その瞬間、短気な父は、僕とのキャッチボールに興味を失ってしまい終了となる。

 

士官学校卒業後、いきなり少尉となった特攻隊上がりの父は子供が苦手だった。

 

子供の扱いに慣れてなかった。

慣れようとしなかった。

 

自分の子供に対してもどの様に接して良いかわからなかったのだと当時は思っていた。

 

 

正しいコントロール

ソフトバンクの工藤監督が2013年に「工藤公康の野球のススメ」の中で、

正しいキャッチボールの仕方について話している。

 

キャッチボールの一番の目的はコントロールをつける練習。

 

相手の胸に投げられる距離から始める。

正しい握り方。

正しいフォーム。

 

コントロールと言う基礎を活かして正確に相手の胸元に投げる事だと。

 

正しいコントロール・・・

 

これがとても大事だと思います。

 

 

組織運営を阻害する大きな原因はコミュニケーション不足

対上司・部下・同僚・取引先・お客様・・・上手くいかないのはミスコミです。

 

講演やセミナー、企業を訪問して、最初に経営者から言われるのは、

⚫製造部と営業部の軋轢

⚫本社と支社の連携が取れていない

・・・などなど。

 

全てはコミュニケーション不足、間違ったやり方でのコミュニケーションが原因でです。

 

だから、先ず行うのは、コミュニケーションの可視化(見える化)です。

 

その時に柔らかい布地で出来たボールを用意して、

最初は近い距離から相手の胸元めがけて優しくなげてやると

誰もが見事なキャッチをしてくれます。

 

次に距離を遠ざけた上に頭上を越える様に強く投げると

相手はジャンプして飛び上がって取ろうとするが、その上をすり抜けていきます。

誰も取る事は出来ません。

 

キャッチボールの基本動作は、相手の投げたボールから

目を離さずに受け取る。相手の取りやすいところにボールを投げる。

 

 

言葉のキャッチボールも同じです

相手の言葉は目を見てしっかり受け取っていますか? 

投げる時は、相手が受け取りやすい様に優しく分かりやすく話していますか?

 

声を荒立たせる。

声が小さく聞こえない。

専門用語ばかりで理解出来ない。

命令調ではありませんか? ・・・

 

ミッションもそうです。

 

「部下が出来ない。」と嘆く前に、

あなたの言葉の出し方は相手が受けとる事が出来ないような悪送球になっていませんか?

 

無理・難題・大きな声で脅すような迫力。

意味不明の内容。

相手の立場にたたない一方的。

 

全ては基本が大事です。

 

キャッチボールも相手が受け取りやすい球で、ボールをしっかり見て

受け取る事を繰り返すことで、徐々に上手くなります。

 

距離を離れても、強いボールでも、時にはコントロールを失ったボールでも、

あなたとの信頼関係があれば、相手はしっかり受け取ろうと努力してくれます。

 

最初が肝心です

子供だった僕は父の、「もっと上手くなれ!」というメッセージを、

その時は理解出来ませんでした。厳しい父の姿が頭から離れなかったからです。

 

世の中には様々な人がいます。

環境・状況・思想・宗教・性格・国民性・・・

その違いは夫々の文化を生み出したエネルギーです。

 

先ずは、相手の立ち位置を認めた上で、「言葉」と言うボールを

しっかり受け取る事から始めてみませんか?

 

違いを認めつつも、誤解にならずに信頼へと繋がるコミュニケーションが生まれるはずです。

 

 

 

「貿易戦争犠牲者は一般市民」  

「貿易戦争犠牲者は一般市民」  2018年10月号

 

米中貿易戦争が激しさを増し、お互いに制裁・報復を繰り返しています。

交渉の可能性は残しつつも収束の兆しは見えません。

このまま続けば米中の中小企業や小売業に追加関税で生じたコストを補える

体力はありません。その結果、末端商品である生活必需品や食料などが値上げ

され、犠牲になるのは一般市民です。

 

あらゆる戦争の犠牲者は一般市民です。

アメリカは(売る)輸出よりも、(買う)輸入が多く、長年続く貿易赤字に

苦しんでいます。更にトランプ大統領は、中間選挙を間近に控えて、強い

アメリカ(アメリカ・ファースト)を強調したい思惑があります。

 

トランプ大統領の支持者は、製造業や生産者の人々が多く、自分たちが恵まれない

のは、安い輸入品が多くあるから、自分たちが生産したものが売れないのだと言う

苦い思いがあります。

 

貿易赤字最大対象国の中国に何だかんだと理由を付けて

制裁措置として追加関税を発動しています。

 

世界の製造国の中国からの輸入品の金額が上がります。

消費者は高いものは買いません。

 

そうすると同じものを作っている国内の商品が売れます。

輸入が減り、国内商品が売れれば国内の生産者やメーカーにとってはハッピーだと

思われますが、事はそんなに簡単な事ではありません。

 

 

なぜ、輸入品が売れていたのか?

それは国内製品が高かったからです。

 

消費者は、価格・品質・容量等を比較して好みの商品を購入するという

自由に選択する権利があります。

 

また、中国は世界の最大の消費国でもあります。

中国も報復措置で関税をかけていけば、アメリカの輸出量が減り、困るのはアメリカの企業です。

 

この貿易戦争は米中だけの問題ではありません。日本にも迫っています。

ご存知の様に、アメリカの対貿易赤字額1位が中国、2位がEU、3位がメキシコで4位が日本です。

 

2017年度の日本からアメリカへの輸出額が約15兆円、対して輸入額は約8兆円です。

アメリカにしてみれば、約7兆円の赤字です。

 

アメリカに旅行いけば、至る所で日本車を見る事が出来ます。

また、家電製品も日本製のブランドを沢山見る事ができます。

 

さて、日本では、アメリカ製品はどうでしょうか?

 

街を走る輸入車で多く見かける事が出来るのはドイツ車が多いですね。

アメリカ車は少ないような気がします。

 

・・・昨今は赤身肉の熟成ステーキがブームになり、アメリカ産の輸入肉を

食べる様になっていますが、7兆円の赤字解消には程遠いです。

 

 

なぜ、アメリカの製品が日本で売れないのか? 

日本の生活実態に見合わない・・・大きな車や燃費の悪い車は敬遠されるのは当然です。

遺伝子組み換えの農作物は心配です。

 

デコラティブなモノは日本の住宅には・・・どうかなぁ?

 

モノを売る為には、購入者の欲しいと言う要求レベルを満たす事が必要です。

それは単に価格だけではなく、品質・機能・デザイン等を含めて、安心・安全が担保されたものです。

 

日米の貿易交渉に於いても、単純に関税措置の問題や門戸開放だけではありません。

ジェット機やミサイル等の軍事関連の購入を進められても困ります。

とにかく、一般市民レベルの生活に根付いたところで解決策を見出して欲しいものです。

 

日本側も変えなければいけないところは沢山あります。

特に大手企業は下請け企業や取引先企業に厳しい値引きだけを要求して自社の利益を

最大化して内部留保に努めています。

 

先ずは社員の給与を上げる。

 

儲けた利益を設備や新規事業の投資に回してお金が回る様にしなければ

皆がウィンウィンの関係を築くことが出来ません。

 

もちろん、給与が上がれば映画館でハリウッド映画を鑑賞し、ディナーにアンガス牛の

どでかいステーキと付け合わせのアイダホポテトにトウモロコシ、ちょっと贅沢してワインは

ナパバレーのオーパスワン。デザートにアメリカンチェリーを食べて至福に時間を過ごして下さい。

 

月に一度、多くの人々が行えば、アメリカの対日貿易赤字を少しは減らしてくれるかもです。

 

 

最後に、ご存知ですか?

 

 

保護主義的な貿易施策によって第一世界大戦がはじまったのです。

それを元にWTO(世界貿易機関)が出来て貿易の自由化を促進しています。

 

どんな戦争も被害の犠牲者は一般市民です。

・・それを忘れない事です。

 

 

 

「職人徒弟制度はブラック?」  

「職人徒弟制度はブラック?」  2018年9月号

 

 8月28日の西日本新聞の朝刊一面トップ記事に

「職人徒弟制度はブラック?」

と大見出しで掲載された記事を多くの方がご覧になったと思います。

 

皆さまはどの様な感想をお持ちになったでしょうか? 

 

その前に、記事の内容は・・・

 

福岡のある有名洋菓子店の長時間労働の常態化、残業代未払、労基署の
立入調査に備えたオーナーからの「口裏合わせ」の指示。

クリスマスやバレンタインの前には店に寝泊まりし、
睡眠2~3時間と言う日も、残業は月に130時間以上、

記者がオーナーに直撃取材すると、おおむね事実を認めた上で、

「職人を育てる為です」

「職人の仕事は、労働時間をきっちり管理するのが難しい・・・」

意見は分かれる事でしょう。

 

その前に、先般、「働き方改革関連法案」が成立しました。

ご存知の様に、長時間労働による過労死やパワハラやセクハラ被害の
報道が続き、ブラック企業の摘発が行われています。

 

過重労働が当たり前感満載(私見です。)の新聞社が
朝刊一面トップに問題提起した事に感心した次第です。

 

「労働と修行 境目は」 

職人「時間外に技術指導」 

識者「法に基づき是正を」

 

僕も前職では、長時間労働が当り前、むしろ頑張っている感満載の組織に
在籍していました。

正直、部下に対しては、「君、遅くまで頑張るね!」などとブラック上司の
端くれだったと反省しています。

 

評価の考課査定は、遅くまで頑張っているからではありません。

やはり成果・貢献度です。

組織として出来るまで遣らせるではなく、時間内で出来るようにする事が必要です。

 

職人でも、サラリーマンでも、事業組織の元では労基を順守する。

残業したら残業代を払う。

有給を取得させる。

等、当たり前の事です。

 

競争が激しい飲食や理美容業界でも、どの様な業態でも当たり前にしなければ
ならない世の中です。

 

・・・だからこそ事業を行う経営者は法規を順守した上で
経営が成り立つ事業モデルの計画と実行が必要です。

 

雇用の責任とはそういうものです。

・・・一日8時間では、週休二日では教えられない。

・・・自分たちの若いころは朝から夜中まで

・・・そのような時代ではありません。専門性が高い業種・業態であってもです。

 

どうするか?

 

事業を拡大して拡げる前に、人を育成する仕組みや環境・制度を整える事が必要です。

 

長い時間をかけて身に付けたコツ・勘・ナレッジやノウハウと言う「暗黙知」の
「形式知」化が必要です。分かりやすく簡略化してビジュアル化(映像やイラスト等)で
マニュアル化を行い、また、指導方法も含めてアカデミック(学術的)に組織が取組み
教育・研修もシステム化する事が必要です。

 

或いは、入社一年から2年間は企業内大学を作り、入学させ、週の内、授業、半分、
残り半分は徒弟制度の様に先輩がOJTで指導しながら業務を行うドイツやベルギーなどの
「デュアルシステム」を取り入れる方法もあります。

 

また、ヨーロッパの様に、中学生の内に進路を決める、大学に行くのであれば「バカロレア」
を取得する進路。そうでなければ、職人になる為に職業訓練校に進み、マイスター制度の元、
親方に付いてプロの技術を取得する。

 

許されないのは、「やる気の搾取」です。

 

一流になりたい!プロになりたい!と言う、若者のやる気を逆手にとって、修行の一環として、
不必要な労働を押し付けたり、不用意に残業させたりです。また、意味も意義もなく、何もさせない!
と言う、意味のない労働時間の無駄使いも含めて止める事です。

教え・育て戦力に変える事こそ、組織の繁栄に繋がります。

 

社員の成長の結集が企業の成長の基盤となります。

 

様々な意見がおありだと思います。

 

僕の頭の片隅にも割り切れない思いはあります。

 

洋菓子店のオーナーの気持ちも分からないではないです。・・・

 

でも、でも、変わらなければならないのです。

それが出来なければ個人事業で誰も雇わない事です。

 

 

 

「未来に繋ぐ農業改革」  

「未来に繋ぐ農業改革」  2018年8月号

 

農地バンク」と言う言葉を皆様はご存知ですか?

 

先日の新聞(西日本新聞7月24日朝刊)に掲載されていた記事から
引用すると、廃業や引退する農家などの農地を借り受け、担い手にまとめて
貸し出す「農地中間管理機構」の制度の事を言います。

国策として農業用地の集積を図り農業活性化への道を切り開くものです。

 

・・・しかし、制度は作ったが運用が進まない。
よくある話です。

 

そこで、国は本年度から、更なる優遇施策を打ち出します。
通常、区画整理を行うと事業費の一部は農業者が負担しなければならないが、
国負担となることで金銭負担はなくなります。

 

また、貸し手にも固定資産税の軽減や協力金交付といった“アメ”も用意しています。

 

“アメ”を増やせば上手くいくのか? 

 

日本の農業の問題として農業人口の減少です。

 

1965年の1150万人から2015年には200万人へと5分の一になっています。

その影響で食料自給率も7割から4割となっています。

 

このことは、国としても国民の生活としても海外輸入の依存率が高くなればなるほど世界的な
規模での飢饉・干ばつ・戦争や経済恐慌・後進国の台頭(食料事情の変化)などの国際情勢に
よって大きなリスクとなりえます。

 

農業人口の減少理由として

・農業従事者の高齢化
・後継者不足
・3K(きつい、汚い、カッコ悪い)というイメージ
・収益面の不安
・休めない
・農機具購入の借金
・天候に左右されてしまう

等です。

 

また新規に農業を始めるとしても、

・土地がない
・知識、経験がない
・農機具、農業資材などの必要装備にお金がかかる

事です。

 

そこで「農地バンク」が活かされる「しくみ」と運用を大きな視点で
考えていく必要があります。

 

農業と言う「3K」のイメージの払拭が必要です。

そこで労働環境の改善が求められます。

 

農地バンクは農地の集積です。

 

一つ一つの農地は狭くても集積させ、区画整理を行い大規模にすることで農道も
拡幅されることで計画的な耕作面積の区画割りや、今まで利用できなかった大型の
農機具の投入により生産効率を上げる事が出来ます。

 

その利点を生かし、新たなる農業法人として、家族経営から法人経営として働く
時間や休みなどの労働環境を整える。また、その土地の気候や土壌に適した農法を
取り入れ、ITやAI,ロボットの導入でより高レベルな生産体制を構築して、
更には廃棄野菜をなくすためにも2次加工・3次加工のオリジナル商品の生産を行う。

 

農業法人として重要な事は食べていける事です。

 

その為には、収益が上がるビジネスに変える方法として、適正に売れるモノを生産性を
高めて作る事が必要です。

但し、国民に必要で儲からないけど生産しなければならないものは、税制面の削減等で
ある程度は控除して世の中に供給しなければなりません。

または、他のモノで利益を出して補う必要があります。

 

1.販売チャネルの選定と確保

2.市場リサーチ(マーケティング)

3.安心・安全を担保した作物

4.天候に左右されない耕作・収穫のしくみ

5.廃棄物をなくし全てを商品化するしくみ

 

しかし、難問があります。

 

ただでさえ人手不足の状況で、農業法人を作っても担い手になる労働者がいなければ
前に進みません。まずは、消費者である僕たちが農業に対するイメージを変える事が
必要です。

僕たちは農業という産業があるからこそ生きていく事が出来きます。

 

ライフラインの水・ガス・電気は欠かせませんが農業がなければ、僕たちは原始時代の
様に自ら狩猟・採取に出かけなければなりません。

「人」が生きていく為の大事なエネルギー産業と言っても過言ではありません。

 

そのことを理解すること、また、未来を託す子供たちの為にも「安心・安全」が担保
された食料を供給されているかに注意しなければなりません。

 

農業の素晴らしさ・カッコよさ・やりがいのある仕事だと言う事を伝えていく事と、
全面的にサポートすることが必要です。

 

暗黙知を「経験によるナレッジ・ノウハウ」を形式知に変えて誰でも理解できる
マニュアルに変え指導する体制やIT・AI導入による最先端による仕組みと地域ごとに
特性をもった農作物の生産。

 

安心・安全・美味しいと言うジャパンブランドに創り上げて世界に販売していく仕組みも必要です。

 

また、世の中には働きたくても働けない人たちがいます。働きたくなる職場作りや
生活して楽しめる収入を作り上げる事を僕たちも応援していく事が必要です。

 

農業の素晴らしさを知る為にも、是非、読んで欲しい本があります。

それは、原田マハの「生きる僕ら」です。

 

「マーケット」  

「マーケット」    2018年7月号 大野 尚

 

ビジネスの成功に必要なのはお客です。

お客(買ってくれる人)がいなければビジネス、敢えて言うなら商売
成り立ちません。

そのお客を見つけるために皆苦労します。

 

良いプロダクト(商品・サービス・技術等)なのに売れないと嘆きがちです。

そもそもお客とは何だろう? 

買ってくれる人。一人じゃ困ります。

 

お客が集まる場所は・・・

人の集まる「市場」 そう、英語で「マーケット」です。

ラテン語で「MARCATUS」=「商う」が語源だと言われています。

 

市場を表す言葉は、

伊語で「メルカート」

仏語で「マルシェ」

西語で「メルカド」

独語で「マルクト」

といずれもラテン語が由来です。 

また、アラビア語圏では「スーク」で、中東やインドでは「バザール」と言います。

因みに沖縄では「マチグァー」と言います。

これは(あいだ)(ミチ)と書いて「()()」と言うところから来ているのではないかと
勝手に僕は想像しています。

考えてみると日本の商店街は殆どが道の両並びに構える商店の集合体です。

 

話は変わりますが、15年ほど前にウズベキスタンを旅行しました。

「青の都」と呼ばれる千夜一夜物語の舞台となったサマルカンドは
紀元前10世紀頃から砂漠のオアシス都市として栄えたところです。

 

その世界遺産に登録された町の見どころはティムール王国を一代で
築き上げた王ティムールが創り上げた建築物(モスク・霊廟)も
美しく見応え十分ですが、それよりも私は無類の市場好きです。

旅に出れば必ずその場所の市場に訪れています。 

 

当然の様にサマルカンドでも街の中心にある
シヤブ・バザールにも立ち寄りました。

円形のドーム型をした市場の中には様々なモノが売っています。

多くの人々が集まってとても賑やかです。

 

ふと、意識が消え、思わず夢心地で想像の世界に入り込んでしまいました・・・

 

日中は太陽の強烈な陽炎(かげろう)に夜は月明かりと香しき香木を焚く煙に揺らめく
妖しいアラビアンナイトの世界に遥々と山を越え、砂漠を超え、大河を渡り
様々な国から訪れた人々。
 

東方の中国から南方のインドから西方のヨーロッパから、また、厳しい
山間部・広大な草原を行き交う遊牧民族も隊商(キャラバン)の一団も
東西南北からオアシスの市に集まってくる。

 

待っているのはオアシス近辺に定住する農耕民族です。
彼らは米や野菜・小麦粉に自分たちが紡いで編んだ敷物や衣服・香料や
香辛料・彩色豊かなドライフルーツ・肉に野菜に寒暖差のお陰でジュー
シーな甘みを湛えたスイカにメロン、土窯で焼き上げたサマルカンドナン
と言われるパン。

 

・・・最初は水辺の土地に行き交う人々が水を求め休息の場となり、食を
求めれば食を提供するものが現れ、病で倒れれば治療を施すものが現れ、
金が足りなければ貸すものが現れ、必要に応じて提供するものが次から次へ
と現れていったのです。

 

物々交換から始まった小さな取引の「場」が
多くの人々が集う事で市場となったのです。

 

小さな個人対個人のモノの交換という取引が様々なモノと多くの人々と
行われることにより、「市」の拡大が続き、個人から専業として商店と
なり、儲かるものには競合が生まれ、もっと良い商品を、もっと良い価格で、
もっと喜んで貰えるサービスを、手を変え品を変え、より目立つように、
より便利な場所へと、事業意欲は高まっていったのでしょう。 

 

・・・それから数千年後、

現在のビジネスは大きな変革を遂げたのでしょうか?

 

先日、上場したシェアリングエコノミーアプリを提供する「メルカリ」、
時価総額6000億円を超える大商いとなりましたが、このメルカリは
新たな市場をネット上に創り上げたのです。

まさに、個人と個人が所有するものを売り買いする仲介アプリです。

 

聞くところによると社名の「メルカリ」はラテン語由来の「商いをする」に由来して

おり、「マーケット」も同じ起源です。

 

オアシスの土地に生まれた小さなバザールがネット上に生まれ変わったのです。

 

もう一度、原点に戻って買う客がいなくなったにではなく客が購入したくなるプロ

ダクトの創造を真剣に考えてみませんか?

 

 

 

「ジョージア見聞録」  

「ジョージア見聞録」    2018年6月号

 

レイ・チャールズのカバー曲として世界的にヒットした

「我が心のジョージア」

ステート・オブ・ジョージア(ジョージア州)の事ではない。

 

余分な説明が長くなったが、この度、大関昇進を果たした

「栃ノ心」の故郷、旧グルジア共和国の事である。

 

ジョージアを含む古代イベリア王国は、大変スポーツに熱心な国で

今でもラグビー・レスリング・重量挙げに柔道が国民に人気が高く

男たちはプーチン顔(個人的感想です。)の屈強な体格が多い。

 

基本情報として、国土は北海道より一回り大きく、

そこに400万人弱の人々が暮らしています。

通貨はGEL(グルジアラリで1ラリは約44円です。)、

因みに平均年収は日本円で35万円から50万円です。

 

この所得の差が大きなビジネスのチャンスを創造します。

 

カントリー・オブ・ジョージアを3・5泊6日間と言う

誠に歯切れの悪い宿泊数で旅をした。

 

行程は、

福岡 ~ 羽田 ~ ドーハ ~ バクー ~ トビリシ。

 

おもてなしの心溢れるカタール航空の利用です。

 

帰りは、

トビリシ ~ ドーハ ~ 羽田。

 

深夜着なので一泊してから福岡である。

 

往路で「バクー」と言う、ヒトを喰ったような、

いや夢を喰ったような「アゼルバイジャン」を経由する。

 

もともと、この辺りはカスピ海と黒海周辺の

旧ソ連連邦の南コーカサスである。

  

その南コーカサスにある昔の名前を変えた

「ジョージア」に次の3つの事で興味をもった。

 

1.世界一美女の多い国である。と言われている。

「うーぅん、どうかなぁ?」

まぁ、我が故郷「福岡」の方が・・・

これは、場所によって美女達の出没率の違いに気づいた。

 

メインストリートのルスタヴェリ大通り(東京で言う銀座通り)は

美女だらけだった。

 

僕が最初に歩いた場所がかなりの下町だったみたい。

 

2.なぜ?国名は変わったのか?

ロシア語由来のグルド人の土地「グルジスタン」から転訛した

「グルジア」が、ソ連邦解体により再度の独立を果たし、

元々多数民族であった「カルトヴェリ」語族の自国名「サカルトヴェロ」の

英語表記名のジョージアになったということですが、

我が旅の運転手カルトヴェリ人「ニカ」さんによると

「我々はロシア嫌い、だから英語表記のジョージアにした。」

・・・簡単明瞭である。

 

 

3.かの独裁者スターリンが生まれた場所とは?

ソ連時代の独裁者を生んだ国、さぞかし・・・

出会った人々はホスピタリティ溢れ

フレンドリィで優しく特に親日的な印象を受けた。

 

首都のトビリシ市内も郊外のムツヘタもシグナギや

カズベキ町も治安の悪さは感じなかった。

 

到着日は、ホテルでゆっくり過ごし、翌日から、

依頼した運転手「ニカ」さん(英語堪能)が かっ飛ばす三菱車で

500以上のワイナリーが点在するカヘティ地方の観光へ。

 

ワイン発祥の地とも言われるジョージアワインは地中に掘った穴に

埋めた壺で発酵・壺に蓋をして熟成させる古代製法を続けている。

 

8000年前から変わらぬ世界無形文化遺産に登録された

製法のワインの味は・・・正直なところ不味くはないが、

美味くはないが飲み続ければ間違いなく病みつきになりそう。

 

近代製法のヨーロッパ式製法で造られたワインは口当たりは良く、

コスパはチリワイン以上に優れものですね。

(あくまでも個人の感想です。)

 

二日目は、ジュワリ教会の見学をして軍用道路(ロシアまで伸びてます。)

を通ってジンワリダム湖で休憩、この辺は道路沿いにハニー(蜂蜜)の売店が

点在しています。

 

高地の美しい空気の無農薬の花の蜜を吸った蜂のハニーは甘く、

これをヨーグルトに加えて食べるのが健康と長生きの秘訣だと

現地のコーカサス人のおばちゃん達が一生懸命語ってくれました。

 

次に、アナヌリ要塞からグダウリスキ~カズベキ町。

ここで4WD車に乗り換えて山道の悪路を進むと世界遺産の

ツミンダサメバ修道院に。

 

「ウワッア!!最高!!」

 

標高2170mのクヴェミムタ山の頂上に立つ教会は雲の中の

天空に浮かぶ様に見る事が出来ます。

 

もちろん、そこからの眺めも最高です。

 

帰りに小さなローカルレストランで食べた・・

ジョージア風小籠包“ヒンカリ”肉汁たっぷりの熱々の

それは頬が落ちるほど美味かった!!

 

それから、レストランでは“ヒンカリ”ばかり食すほど病みつきになりました。

 

語れば語るほど面白い!!

 

国ジョージア、皆さまも行ってみませんか?

 

 

 

「促す!」  

「促す!」    2018年5月号 大野 尚

 

 本年4月より事業構想大学院大学で客員教授として

社会人向けに「イノベーションの発想」という科目を

受け持っている。

 

また、12年前から福岡大学経済学部において非常勤講師として

「産業戦略論」と言う講義を毎週月曜日に二コマ続けている。

 

講義の一コマ目は僕からのアウトプット(各事例)を含めて

出来るだけ分かりやすく、皆が当事者として物事を考えられる

ように意識出来るように教えるのではなく促しています。

 

 

僕は専門的に学問として「経済学」を勉強したことがありません。

 

25歳から47歳までは小さなベンチャーにアルバイトとして入社し、

ビラ配りの一兵卒から一部上場企業の役員を担うまで叩き上げてきました。

 

知らない!分からない!

 

厚い壁・高い壁・困難な壁を多くの難題を数多くの失敗を繰り返しながら

トップの理念と後姿を追いながら実体験として過ごしてきました。

 

また、独立してからは様々な業態の企業様にコンサルタントとして

携わってきました。

 

同時に年に5回から6回は世界を歩きリアルな現実と

状況を嗅ぎまわってきました。

 

更に12年続くラジオ番組のパーソナリティーとして各界の著名人や

専門家にインタビューを行い、より専門的見地での見解や物事の本質を

より深く広く問うて多くの事を学ばせて頂きました。

 

もちろん、読書も積読ではなく積極的にあらゆるジャンルを

読みまくっています。

 

映画は飛行機の中で年間50本以上視ています。

 

その経験と自ら学んだものをベースにイメージして変化するモノを

見極めています。学んだ事をアウトプットするのではありません。

 

あくまでも受講生自らが考え、未来を予測出来る力と、どんな困難に

遭遇しても突破出来る実行力を身に付けて貰う事が僕の講義です。

 

だから、楽しくて・楽しくて皆に促しています。

 

僕は彼らの成績を付ける事が目的ではなく、

未来を創造する実行力のある人づくりをしているのです。

 

 

「スタート」

「スタート」    2018年4月号

 

4月に入りました。新年度のスタートです。

スーツに着られている新入社員の多くが

右往左往・ワクワクドキドキ気持ちを高ぶらせて

走りまわっているのかなぁ?

 

・・・それとも花見の場所取りか?

 

研修中なのかもしれない。・・・

 

 

僕は新入社員の経験がありません。

卒業イコール就職の道を選択しませんでした。

学生時代からアルバイト先で知り合った音楽事務所で

働くことになっていました。

 

学生でありツアーマネージャーであり何でもやる下働きでした。

 

卒業後、1年近く働きましたが敢無く挫折。

肉体労働のバイトで金を稼ぎ、

アメリカの大学を目指しましたが挫折。

 

目に飛び込んできた電柱に張られた薄汚れたポスターの

「世界一周19万円8千円」・・・

「これだ!」とヨーロッパへ旅立ちました。

・・・紆余曲折・波乱万丈・有為転変と渡り歩いて40年・・・

 

多くの失敗が数多くのチャンスを掴むヒントになりました。

挫折が新たな転機となり道を創ってくれました。

 

「素直であれ!」→「スピード!」→「知らない事はポテンシャル。」

 

→「学べ‼」→「インプット&アウトプット」

 

→「上手い人の真似をする。」→「量稽古(繰り返し)」

 

→「ロジカル思考」→「溜めるな!」→「吐き出せ!」

 

→人は強くない・でも弱くない!だから大丈夫。

 

私事ですが、今まで毎週金曜日に務めておりました

rkbテレビ「今日感テレビ」のコメンテーターが

4月より水曜日に変わります。

(4月・5月は時に火曜日・金曜日と変則的です。)

 

パーソナリティを務めておりましたrkbラジオ毎週日曜日の

「こだわりハーフタイム」が野球シーズ中はお休みとなります。

10月からの再スタートとなります。

 

新たにrkbラジオ「櫻井浩二インサイト」に

木曜日の朝8時37分前後にコメンテーターとして登場します。

更に、事業構想大学院大学で客員教授として講義を受け持ちます。

 

本年還暦を迎えます。

40年前の思いを新たに次のステップ65歳まで、

楽しんで自らのペース配分で完走します。

 

 

「内部の敵を戦力に変える!」

 「内部の敵を戦力に変える!」  2018年3月号

 

組織は厄介なものだ!

本来であれば、社内のシーズ(ナレッジ・ノウハウ

・歴史・モノ・コト・情報・お金等)の強みを活かし

結合し、ヒトの力を最大化させた総合力でベクトルを

一致させ目標達成に向かうのが、あるべき姿であるはずだが・・・

 

残念なことに多くの組織が内部の敵に翻弄され力が分散され

時間・お金・人のエネルギーを無駄な事に使っている。

 

内部の多くの問題は「人」である。

役員や上司への忖度・上司からのパワハラやモラハラに

セクハラ・些細な人間関係の捻じれから生じた派閥や仲間割れ、

・・・殆どが個人の嫉妬心や虚栄心。

プライドとは言えない自惚れや驕りから来る自尊心。更に曲がった

執着心に異常なまでの敵対心に劣等感や優越感がごちゃ混ぜになった

負のエネルギーが組織の中を席捲する。

 

疑心暗鬼に懐疑心に猜疑心

権力者や影響力のある「人」の負のエネルギーを正しい方向に

向かわせるには・・・

組織内の倫理感を強く求める事は当然だが、間違った事に正しく

判断し声を上げて質す強い信念と折れない気概が持ったそれなりに

影響力のある役職を持った「個人」。

又は、結束力のある「集団」が存在しなければならない。

 

内部の敵を味方に変える!

  • 聞く・聴く・訊く → しっかりと受け止めて頷いて最後まで話を訊く

◯褒める! → 良いところを見つけて褒める。噂にして褒める。

◯合理性 → 目標・目的の達成の為の遣るべきことを明確にする。

◯明るく元気な声で常に挨拶 → 不思議な事に負のエネルギーは明るさや

元気さが苦手なものだ。大きな声で回りに聞かれることも苦手なものだ。

 

それでも駄目なら・・・自らトップになれ!!

 

 

「隙間こそチャンス」  

隙間こそチャンス    2018年2月号

 

沢木耕太郎の深夜特急もテレビ放送「進め!電波少年」の

「猿岩石」や「ドロンズ」の世界を

ヒッチハイクで歩く旅などない時代、

もちろん、旅人ご用達の「地球の歩き方」も出版されてない

1970年代中頃からポツポツと

格安航空券を売る旅行会社?が現れ始めました。

・・・当時は旅行業の登録もない怪しい会社も多く

ありました。

 

40年から50年前は海外旅行と言えばパッケージ旅行か

グループ旅行。

または法人の業務渡航か大学の先生たちの学会でした。

 

50年前の1968年のハワイのツアーは40万円前後、

ヨーロッパツアーは70万円前後もしました。

1968年代当時の大卒の初任給が3万円前後だったので、

今の価格だとハワイ旅行で300万円前後、

ヨーロッパでは700万円となります。

庶民の手には届かない高値の華でした。

 

・・・その隙間が「格安航空券」

・・・安くすれば需要がある。

・・・チャーター機を除き、航空機は定期運送が

条件だった時代。

 

空席は空気を運んでいるだけになる。

 

詳細な仕組みは省きますがが、航空会社は少しでも

多くの乗客を乗せたい。お客は安く乗りたい。

売れない席を埋めるために「格安航空券」は

生まれました。

 

利害の一致がビジネスモデルを創造したことになりました。

 

今では、あらゆる隙間を埋めるビジネスが世間に溢れています。

 

ネットの時代だからこそ”シェアリングエコノミー”の

潮流から生まれた「ライドシェア」。

一般人が自らの自家用車と使って乗客を運ぶ「UberX」、

今のところ日本では白タクで違法となります。

同じ様に民泊の「AirBnb」も空き部屋の提供です。

求めるニーズの高まりと数が多くなれば、

いずれも合法となる日が近い筈です。

 

さて、皆さんの周りにも多くの「隙間」があるはずです。

アイデアが浮かばない!新しいビジネスを構築する以前に、

簡単に見つかる隙間を埋めてみては如何ですか?

 

時間の隙間、24時間は誰もが与えられた共通のモノです。

無駄に使っていませんか?

 

空間の隙間、不必要なモノが置いてある。整理すれば、

新たなスペースが生まれます。

 

予算の隙間、足し算での達成ではなく、

引き算で考えてみては如何ですか?

 

使うから活かす。

 

人員の隙間、適材適所・相性・得手不得手の人員配置こそ

最大のパフォーマンスを生みます。

 

「隙間」ニッチとも言われます。

 

身近なところに多くの隙間が見え隠れします。

 

中古住宅と言う「空き家」対策での隙間利用。休耕地の利用。

定年退職者の活用。多忙・閑暇の差も隙間です。

多くの印刷会社と契約をし、仕事が途切れた時に利用して

安く印刷を行う仕組みのビジネスも生まれています。

 

「隙間」はあなたの身近に存在します。

 

「困った事」「上手く言った事」「捨てる・欲しいもの」

「経験・未経験」「勘やコツと言う暗黙知・マニュアルと

言う形式知」も全てが利用できる「隙間」なります。

 

探してみませんか? 

 

常にイノベーションは異業種や異常識の考えで生まれ実行に

よって育っていきます。