大野尚の沸騰コラム

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「やりがいと生きがい」

「やりがいと生きがい」 (2015年6月号) 

5月の末にカリフォルニアのナパバレーを訪ねました。
400以上のワイナリーが集積するカリフォルニアワインの
産地です。
2日間で大小合わせて7軒ほどのワイナリーを
ティスティング兼ねて視察しました。

ナパバレーの特徴はマイクロ・クライメート地域です。
これは狭い地域にも関わらず、ほんの少し移動するだけでも
日照時間が長く高温の場所、比較的涼しい場所、
また、霜が降り、蒸し暑い場所など、場所毎に天候(温度・
気温・湿度・風・降水量等)が違うことを指します。
この地形故に、ワイナリーは、他の真似をする訳には行きません。

土地の気候に適した葡萄の品種を選び、良い土壌作りを行い、
秋の収穫時期には酸度と糖度の最も良いバランスを見て収穫する。
様々な作業を経てタンクに入れて発酵。
発酵後、幾つかの行程を経て樽で熟成。
その途中でも何度も「澱引き」と呼ばれる沈澱物を取り除く作業を
行い自分たちの逸品を作り上げるのです。

そのプロセス一つ一つに多くの人々の経験と学習に基づいた叡智が
生かされ、そこで働く全ての人々の魂と気概が込められているのを
感じました。

話を伺うと、
「仕事はやり甲斐だと思う。やればやるほど問題も課題も
生まれる。だからこそ、その解決に努力することで更に
良い物が生まれる。しかし、気付いたら、その仕事は
生きがいになっていた。自分の人生において必要不可欠なものだと
確信している。」

・・・カリフォルニアの陽光に照らされた赤く焼けた顔がにっこりと
自信いっぱいに微笑んでくれました。

僕は、「仕事はやり甲斐である。やればやるほど面白くなる。」と
思っていました。
仕事が「生きがい」だとしたら、仕事を辞めてしまったら人生も
終わりになると。

だから仕事以外の人生が生きがいだと決めつけていました。
どんな仕事も妥協せず、やり抜いて行くことで昇華され生きがいと
なっていくのだと気付かされました。
例え辞めてしまっても、そのやり抜いた時間の集積が大きな生きがい
を新たに創りだしてくれる筈です。

燦々と輝く太陽の下、木漏れ日に揺れる光が大地の上を遊んで
いました。人生のハーフタイム。愉しく人生を過ごすために、
何事もやり抜いてみよう。