大野尚の沸騰コラム

記事一覧へ戻る

「職人徒弟制度はブラック?」  

「職人徒弟制度はブラック?」  2018年9月号

 

 8月28日の西日本新聞の朝刊一面トップ記事に

「職人徒弟制度はブラック?」

と大見出しで掲載された記事を多くの方がご覧になったと思います。

 

皆さまはどの様な感想をお持ちになったでしょうか? 

 

その前に、記事の内容は・・・

 

福岡のある有名洋菓子店の長時間労働の常態化、残業代未払、労基署の
立入調査に備えたオーナーからの「口裏合わせ」の指示。

クリスマスやバレンタインの前には店に寝泊まりし、
睡眠2~3時間と言う日も、残業は月に130時間以上、

記者がオーナーに直撃取材すると、おおむね事実を認めた上で、

「職人を育てる為です」

「職人の仕事は、労働時間をきっちり管理するのが難しい・・・」

意見は分かれる事でしょう。

 

その前に、先般、「働き方改革関連法案」が成立しました。

ご存知の様に、長時間労働による過労死やパワハラやセクハラ被害の
報道が続き、ブラック企業の摘発が行われています。

 

過重労働が当たり前感満載(私見です。)の新聞社が
朝刊一面トップに問題提起した事に感心した次第です。

 

「労働と修行 境目は」 

職人「時間外に技術指導」 

識者「法に基づき是正を」

 

僕も前職では、長時間労働が当り前、むしろ頑張っている感満載の組織に
在籍していました。

正直、部下に対しては、「君、遅くまで頑張るね!」などとブラック上司の
端くれだったと反省しています。

 

評価の考課査定は、遅くまで頑張っているからではありません。

やはり成果・貢献度です。

組織として出来るまで遣らせるではなく、時間内で出来るようにする事が必要です。

 

職人でも、サラリーマンでも、事業組織の元では労基を順守する。

残業したら残業代を払う。

有給を取得させる。

等、当たり前の事です。

 

競争が激しい飲食や理美容業界でも、どの様な業態でも当たり前にしなければ
ならない世の中です。

 

・・・だからこそ事業を行う経営者は法規を順守した上で
経営が成り立つ事業モデルの計画と実行が必要です。

 

雇用の責任とはそういうものです。

・・・一日8時間では、週休二日では教えられない。

・・・自分たちの若いころは朝から夜中まで

・・・そのような時代ではありません。専門性が高い業種・業態であってもです。

 

どうするか?

 

事業を拡大して拡げる前に、人を育成する仕組みや環境・制度を整える事が必要です。

 

長い時間をかけて身に付けたコツ・勘・ナレッジやノウハウと言う「暗黙知」の
「形式知」化が必要です。分かりやすく簡略化してビジュアル化(映像やイラスト等)で
マニュアル化を行い、また、指導方法も含めてアカデミック(学術的)に組織が取組み
教育・研修もシステム化する事が必要です。

 

或いは、入社一年から2年間は企業内大学を作り、入学させ、週の内、授業、半分、
残り半分は徒弟制度の様に先輩がOJTで指導しながら業務を行うドイツやベルギーなどの
「デュアルシステム」を取り入れる方法もあります。

 

また、ヨーロッパの様に、中学生の内に進路を決める、大学に行くのであれば「バカロレア」
を取得する進路。そうでなければ、職人になる為に職業訓練校に進み、マイスター制度の元、
親方に付いてプロの技術を取得する。

 

許されないのは、「やる気の搾取」です。

 

一流になりたい!プロになりたい!と言う、若者のやる気を逆手にとって、修行の一環として、
不必要な労働を押し付けたり、不用意に残業させたりです。また、意味も意義もなく、何もさせない!
と言う、意味のない労働時間の無駄使いも含めて止める事です。

教え・育て戦力に変える事こそ、組織の繁栄に繋がります。

 

社員の成長の結集が企業の成長の基盤となります。

 

様々な意見がおありだと思います。

 

僕の頭の片隅にも割り切れない思いはあります。

 

洋菓子店のオーナーの気持ちも分からないではないです。・・・

 

でも、でも、変わらなければならないのです。

それが出来なければ個人事業で誰も雇わない事です。