大野尚の沸騰コラム

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「キャッチボール」  

「キャッチボール」   2018年11月号

 

父との思い出は、社宅団地の車路でのキャッチボール

最初は近い距離から始めて徐々に離れて8mから10m位で

相手の胸元に投げ込む。

 

父の「よし、行くぞ!」と言う掛け声共に、

腕が振り落とされると優しいボールが僕の構える

胸元のグローブにすっぽり入ってくる。

 

そのボールを掴んで、僕も優しく父の胸元のグローブめがけて投げ返す。

 

その繰り返しが何度か行われていくうちに、徐々に父の腕が

高く上がり勢いつけて振り落とすボールは重みをもち激しく

僕のグローブに、「ガシッ!」とぶち当たる。

 

やっとの思いでキャッチはするものの、

その勢いに思わず後ずさりしてしまう・・・

 

負けじと僕も全身の力を込めて投げ込む。

 

放たれたボールはコントロールを失い、父の胸元から

大きく外れて二人が離れた距離の倍は転がっていった。

 

その瞬間、短気な父は、僕とのキャッチボールに興味を失ってしまい終了となる。

 

士官学校卒業後、いきなり少尉となった特攻隊上がりの父は子供が苦手だった。

 

子供の扱いに慣れてなかった。

慣れようとしなかった。

 

自分の子供に対してもどの様に接して良いかわからなかったのだと当時は思っていた。

 

 

正しいコントロール

ソフトバンクの工藤監督が2013年に「工藤公康の野球のススメ」の中で、

正しいキャッチボールの仕方について話している。

 

キャッチボールの一番の目的はコントロールをつける練習。

 

相手の胸に投げられる距離から始める。

正しい握り方。

正しいフォーム。

 

コントロールと言う基礎を活かして正確に相手の胸元に投げる事だと。

 

正しいコントロール・・・

 

これがとても大事だと思います。

 

 

組織運営を阻害する大きな原因はコミュニケーション不足

対上司・部下・同僚・取引先・お客様・・・上手くいかないのはミスコミです。

 

講演やセミナー、企業を訪問して、最初に経営者から言われるのは、

⚫製造部と営業部の軋轢

⚫本社と支社の連携が取れていない

・・・などなど。

 

全てはコミュニケーション不足、間違ったやり方でのコミュニケーションが原因でです。

 

だから、先ず行うのは、コミュニケーションの可視化(見える化)です。

 

その時に柔らかい布地で出来たボールを用意して、

最初は近い距離から相手の胸元めがけて優しくなげてやると

誰もが見事なキャッチをしてくれます。

 

次に距離を遠ざけた上に頭上を越える様に強く投げると

相手はジャンプして飛び上がって取ろうとするが、その上をすり抜けていきます。

誰も取る事は出来ません。

 

キャッチボールの基本動作は、相手の投げたボールから

目を離さずに受け取る。相手の取りやすいところにボールを投げる。

 

 

言葉のキャッチボールも同じです

相手の言葉は目を見てしっかり受け取っていますか? 

投げる時は、相手が受け取りやすい様に優しく分かりやすく話していますか?

 

声を荒立たせる。

声が小さく聞こえない。

専門用語ばかりで理解出来ない。

命令調ではありませんか? ・・・

 

ミッションもそうです。

 

「部下が出来ない。」と嘆く前に、

あなたの言葉の出し方は相手が受けとる事が出来ないような悪送球になっていませんか?

 

無理・難題・大きな声で脅すような迫力。

意味不明の内容。

相手の立場にたたない一方的。

 

全ては基本が大事です。

 

キャッチボールも相手が受け取りやすい球で、ボールをしっかり見て

受け取る事を繰り返すことで、徐々に上手くなります。

 

距離を離れても、強いボールでも、時にはコントロールを失ったボールでも、

あなたとの信頼関係があれば、相手はしっかり受け取ろうと努力してくれます。

 

最初が肝心です

子供だった僕は父の、「もっと上手くなれ!」というメッセージを、

その時は理解出来ませんでした。厳しい父の姿が頭から離れなかったからです。

 

世の中には様々な人がいます。

環境・状況・思想・宗教・性格・国民性・・・

その違いは夫々の文化を生み出したエネルギーです。

 

先ずは、相手の立ち位置を認めた上で、「言葉」と言うボールを

しっかり受け取る事から始めてみませんか?

 

違いを認めつつも、誤解にならずに信頼へと繋がるコミュニケーションが生まれるはずです。