大野尚の沸騰コラム

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「人間重視の経営哲学」

 

「人間重視の経営哲学」 12月号

 

大企業に入れば安泰か?・・・

 

令和に入り、大手企業のリストラの報道が続いています。

 

旧三井造船の三井E&Sは1000人の人員削減・配置転換。

 

業績好調のキリンホールディングスも希望退職や早期退職募集

を実施しています。

 

朝日新聞も45歳以上の早期退職を行うとの報道がありました。

 

退職金の上限も6000万円と大判振る舞いをおこなう上での

募集開始です。

 

 

今年に入ってリストラによる退職者数が6年ぶりに

1万人を超えたそうです。

 

少子高齢化・人不足と言われる時代に於いての話です。

 

 

企業の利益の内部留保は年々膨らんでいます。

 平成30年度で463兆円を超えています。

 

 

無駄なお金を使うの上手くともお金を活かす事が

疎かになっているのではないでしょうか?

 

 

経済合理性だけが問われ、成果主義・実力主義が

唱えられている昨今、働く人の未来はあるのか?

 

今のままで社員の士気は上がるのか?

 

甚だ疑問です。

 

 

私は、終身雇用や年功序列の日本式制度に関して

肯定も否定もしているわけではありません。

 

確かに、役職と年収と気位だけが高く、何もしない

管理職は重石になりますが、その様な組織体制に

しているのは会社の責任ではないでしょうか?

 

人を使いきるのは上手くとも、活かす事が

できていないのではないでしょうか?

 

認めてあげて、その人の能力に見合ったセクションと

ポジションを考えての適材適所に配置する。

 

人のパフォーマンスを向上させなければ、会社の未来はありません。

 

 

そもそも社員のモチベーションを高める様な評価や給与制度。

 

個人に寄り添った働き方の提案。

 

また、能力の向上の為に社員への研修も含めた

教育制度は整っているのでしょうか? ・・・

 

 

先月末に訪れたイタリアの企業村と呼ばれる

「ソロメオ村」についてお話しましょう。

 

ここは世界的なカシミヤ・ニットブランドの

『ブルネロ・クチネリ』の本社が置かれています。

 

ここ、ソロメオ村は日本(イタリア)でいうなら、

京都(フィレンツェ)・奈良(ペルージャ)から

1時間位離れた里山の小さな村です。

 

兎に角、何もないところ、ウンブリア州・トスカナ―州に

共通するなだらかな丘陵牧草地に牛や羊が放牧され、

その周辺に葡萄畑、オリーブ畑が点在します。

 

誠に長閑なところ・・・

 

当然、車がないと行けない場所です。・・・

 

 

なぜ、こんな場所に創業者のブルネロ・クチネリ氏は

会社の本社、工場、直営ショップを構えたのか?

 

不思議です。

 

 

イタリアの有名アパレルメーカーのブランドの本社は

ローマやミラノ・フィレンツエと大都市に構えています。

 

実際に出向いてショップスタッフと本社の傍の

BARの女将さんにお話を伺いました。

 

また、クチネリが唱える哲学に関しては、

(※2017年のファッションビジネス専門紙

「繊研新聞」公式サイトから引用させて頂いています。)

 

ブルネロ・クチネリ氏の哲学が基本と

なっている事が分かりました。

 

その哲学とはクチネリ氏にとって

何よりも大切な存在が、「職人」

 

ブランドのクオリティーを左右する重要な

存在と確信を持っています。

 

単なる工員ではなく「アーティストである」との

考え方から、尊敬の意を込めて、アートの意味を

含む「アルティジャーニ」(職人)と呼んでいます。

 

更に職人の給料は、一般職よりも2割以上高くしています。

 

技術を研鑽し手仕事をする上で、自らの給料に

自信をもてば元気で働けます。

 

経営陣や管理職だけが桁違いの収入を得て職人や社員の給料が

低い企業は、生産性もクオリティーも下がりお客様からの信頼も

信用も高くはありません。

 

そこで働く人々が愚痴や不満を吐き出しながら態度や雰囲気の

悪い環境の場に、お客として訪れたくなるでしょうか?

 

 

「儲けを抑えてでも、仕事に見合った給料を支払うことで、

クオリティーは維持され、結果的に成長につながる」

 

「これは、ビジネスにおいて正しい考え方なのです」

 

とクチネリ氏は断言しています。

 

その証拠にブルネロ・クチネリのブランドは決して

安売りをしなくとも、増収を続けています。

 

 

現在、日本に於いて年間15億着のブランドの洋服が販売されています。

 

そのうち、約7億着が実際に販売され、少しはアウトレットに

回されますが、ブランドイメージを低下させない為に、

殆どが廃棄処分となります。

 

・・・こんな悲しい現実が日本のアパレル業界です。

 

 

クチネリ氏は2010年に、職人学校も村に設立しました。

職人技の技術の育成だけではなく、英語や建築、哲学なども

学べるそうです。

 

「社会において職人技術の崇高さを復活させ、専門的な

仕事に相応しい収入を得られるようになること」

を目的にしています。

 

売れ残る服を大量に造り、半分が破棄される。

 

お金を残す為に人を残さず。

 

本末転倒です。

 

働く人々が幸せにならなければ、消費も高まらず市場経済も低迷します。

 

世界的にみて、モノが安すぎる日本は、本来の「価値」を

見失っているのではないか?・・・

 

 

2019年もあと、僅かで終わりです。

 

働く「ヒト」の価値の向上。

 

彼らが生産する・彼らが販売する「モノ」の「価値」を

来年はどれだけ高められるのか!

 

元気出せ!!「日本」

 

引き続き私たちは挑戦していきます。

 

本年も有難うございました。来年も引き続き宜しくお願い致します。